「健康に生きていくために運動したほうがいいんだろうけど、何をどのくらいしたらいいのかわからない。」
今日はそのような方に向けて、アメリカスポーツ医学会が400本を超える論文のデータをまとめて出した指針をもとに健康に生きていくために必要な運動量とはどのくらいなのか、についてまとめてみたいと思います。
400本の論文が示す健康に必要な運動量
アメリカスポーツ医学会の指針では、健康に生きていくためには下記の運動が必要だとされています。
- 中等度の心肺機能系のトレーニング:1日30分以上,週5回以上、週合計150分以上
- 激しいトレーニングの場合:1回20分以上、週3回以上、週合計75分以上
- 筋トレ:2-3/週
- ストレッチ:2/週
この中から今回は心肺機能系のトレーニングの効果的な実施方法についてまとめていきます。
厚生労働省が出している健康のための指針
日本でも厚生労働省が
健康づくりのために身体活動基準2013
として健康づくりのガイドラインを発表しています。
その中では、2023年までの目標として国民の
- 歩数の増加
- 運動習慣者の割合の増加
という個人目標を掲げています。
歩数の増加を目標にするくらいなのでよほど運動が足りてないということなのでしょう。
そして、下記の運動の基準値を決めています。
- 18-64歳:息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う
- 65歳以上:強度を問わず、横になったままや座ったままにならなければ
どんな動きでもいいので、身体活動を毎日40分行う
また、全ての人に対して活動量を少しでも増やし、30分以上の運動を週2日以上行う運動習慣を持つことを推奨しています。
健康診断でこの文章を目にしたことあるのではないでしょうか。
日本とアメリカで出されている指針の違い
アメリカと比較すると、日本の指針はずいぶんハードルが下がった気がしますが、それだけ現代の日本人は運動習慣がないことを意味していると思います。
日本の指針の注意点は、息が弾み汗をかく程度の運動を60分というのは、時間だけ達成して実は強度不足ということが起こることです。
健康になるためにウォーキングをしている方もいると思いますが、ウォーキングだけで週60分確保しても多くの人にとっては不十分です。
それでも運動しないよりは100倍ましですが、もう少し具体的に数値を決めて運動したほうが効果的です。
当然、日本人とアメリカ人で体型や食生活など異なる部分が多くありますので、アメリカの指針をそのまま適用するのはどうかという意見もあるかと思いますが、データの裏付けもされている指針ですので参考にしてよいと思います。
週150分って多くない?
ところで、論文から勧められている週150分の運動を毎週確保することは社会人にとってはなかなか現実的ではありませんよね。
激しいトレーニングでも週75分以上と、なかなか厳しいハードルのように思えます。
実は、運動の指針になった部分にはもうひとつ指標があって、それがポイントです。
1000kcal/週を超える運動を日常生活以外で行う
1000kcal/週を大まかな運動時間になおすと中程度のトレーニングだと150分、高強度のトレーニングだと75分程度ということになるわけです。
ただ、運動の時間を決めても体重や筋肉量、運動習慣などが影響してその人にとっての運動強度は異なるため、消費されるカロリーもバラバラです。
そもそも中程度や高強度というのは個人では判断しにくいものです。
そのため、消費カロリーを目安にして運動をすることをおすすめします。
最近では活動量計を内蔵した腕時計も数多くあり、消費カロリーの把握が簡単な時代です。
週に1000kcalを日常生活以外のランニング、バイク、水泳、筋トレなどで消費することで健康になるために必要な運動量を確保できます。
また、実際には推奨される1000kcal/週の半分の量である500kcal/週の運動量に到達した人から高血圧や心臓の病気にかかるリスクが有意に低くなったと報告されています。
目標は1000kcal/週ですが、これから運動を始めようと思う方は、まずは週に500kcalを日常生活以外で達成できるように始めてみてはいかがでしょうか。
消費カロリーが同じだったら、楽な運動でも効果は同じ?
結論は、同じ消費カロリーであるならば運動強度が高いもので達成したほうが効果的です。
その理由は高強度で運動した場合、消費カロリーが同一でも、体に酸素を取り込む機能が中強度の運動よりも改善するためと報告されています。
同じカロリーを消費するなら、体の機能の向上も得られる少しきつめの運動を取り入れることがオススメです。
さらに効率的に心肺機能系のトレーニングを進めていきたいという方には心拍数を目安としたトレーニング強度を併用しながら、1000kcalという目標を達成する方法をおすすめします。
心拍数をベースにしたトレーニング方法については下記の記事を参照してみてください。
https://coedoblog.com/training/training-heartrate/
消費カロリーの把握におすすめの活動量計
最後に消費カロリーの把握におすすめの活動量計をご紹介します。
最近では腕時計型の活動量計が数多く出ておりますが、ハイエンドモデルは価格も高いし、通常使わない機能も数多く搭載されています。
これからトレーニングを始めていきたいという方にとって、どれを選んだら良いのかわからないと思います。
トップレベルを含めアスリートを多くみてきた私の視点から、アスリートも愛用するトレーニングのパートナーとして必要な最低限の機能を備えたものを紹介したいと思います。
なお、ここで紹介しているモデルは心拍数を目安にしたトレーニングの記事で紹介したものと同じものです。
なぜかというと、現時点で心拍数の計測ができてトレーニングに推奨できるモデルは消費カロリーの計算もできるように設計されているものがほとんどのためです。
そのため、必然的におなじものをおすすめする形になりますが、言い換えるとここで紹介したものを1つ持っていれば事足りるということでもあります。
安い商品も出回っていますが、できればスポーツ・フィットネス・アウトドア業界で最新の技術を提供し、アスリートからの信頼も得られているメーカーのものから選ぶことをおすすめします。
1.Fitbit Charge3
2.Garmin vivosport SLATE / Foreathlete245
Fitbitに続いて、スタイリッシュなリストバンド型アクティビティトラッカーをお探しの方にオススメなのがこちら。トレーニング中腕時計タイプだと気になる方にオススメです。
Garmin ForeAthlete245
2019年5月に発売されたばかりのモデル。腕時計型が好みの方にオススメです。
心拍数の計測、消費カロリー計算のほか、十分すぎる機能を持ったGPSランニングウォッチ。ランニングフォームの分析もしてくれます。
3.SUUNTO 3 FITNESS
アウトドアで定評のあるSUUNTOからはこちら。カラーバリエーションが豊富で自分好みの色を選べます。心拍計測、カロリー計算、GPS、防水、機能性はバッチリです。シンプルなデザインが好きな人にオススメです。
4.POLAR M200
POLAR社はもともと心拍数を計測するデバイスを販売しており、アスリートのトレーニングでは信頼が厚いメーカーで性能は間違いありません。他のモデルに比べると手頃な価格でエントリーモデルとしてよいと思います。
5.Apple Watch
最後はいわずとしれたアップルウォッチです。実は心拍数を計測したり、カロリー消費を計算したりトレーニング用の時計としても非常に優秀です。トレーニングと日常生活、どちらでもおしゃれに使える時計ですね。
これらの時計を使うと週150分の運動などの時間で区切らずとも、週に1000kcalの消費を目標として運動をすることが出来ます。あわせて心拍数を目安にしたトレーニング強度の設定もできますのでオススメです。
まとめ
400本の論文から導き出された健康に生きるために必要な運動量は週に150分以上の中程度の運動を実施すること、もしくは週に1000kcalをこえる運動を日常生活以外ですることです。
この運動目標を達成するためには、時間の設定だけではなく、活動量計を使って消費カロリーを記録することがおすすめです。
【参考文献】
“Quantity and Quality of Exercise for Developing and Maintaining Cardiorespiratory, Musculoskeletal, and Neuromotor Fitness in Apparently Healthy Adults: Guidance for Prescribing Exercise. ” American College of Sports Medicine Position Stand. Med Sci Sports Exerc. 2011 Jul;43(7):1334-59.