森の中を歩くととても気持ちいいですよね。
秋から冬にかけてよく近所の低山に登るのですが、森の中を歩くだけで自然と気持ちがリラックスします。
また、ヒノキのお風呂やお部屋の匂いをかぐとなぜかリラックスしませんか?
先日、旅行先でAirbnbを使って古民家の離れに宿泊したのですが、浴室にヒノキが使われていて、そこでゆっくり入浴するだけで癒やされました。
自然に触れると、心が穏やかになるし健康に生きていくためには必要だなと感じていたわけですが、最近この本を読んで自然の効果に関する科学的な裏付けについて学びました。
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方
今回はこの本で得られた知識に科学論文の知見も加えて、森林が人に及ぼす効果についてまとめてみます。
結論からいうと、森林浴をするとリラックスできたり心地が良いのは、樹木から生じる香り(フィトンチッド)をかぐことでストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが減少し、交感神経系の活動が抑制されるためです。
免疫力の一つの指標であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が体内で増えることもわかっています。
さらに忙しくてそんなに頻繁に自然に触れられない人でもヒノキの匂いをかぐだけで同様の効果があることがわかっています。
森林浴の効果
森の中でなぜ人は心地いいと感じるのか、日本の千葉大学の研究グループがこれまで研究を重ねてきています。
森の中をゆっくりと散策すると都会を歩くときと比べて、ストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールの値が16%下がることが明らかになりました。
さらに交感神経の活動が4%下がり、血圧は1.9%の低下、心拍数が4%低下したと報告されています。
Park BJ, Tsunetsugu Y, Lee J, Miyazaki Y, et al. Effect of the forest environment on physiological relaxation-the re- sults of field tests at 35 sites throughout Japan. In: Li Q ed. Forest Medicine. Nova Biomedical, 2011
2008年の研究では中年のビジネスマンを対象に2-4時間森の中をハイキングしてもらう課題を3日間実施すると、免疫力の一つの指標であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)が40%も増大したことが明らかとなりました。
さらにその効果は7日間持続し、1ヶ月経過しても実験開始前よりNK細胞は15%多い状態が維持されていたそうです。
- コルチゾール値が低下
- 交感神経活動の抑制
- 血圧低下
- 心拍数低下
- NK細胞の増加
同じことを都会でやってもNK細胞の数は変わらないこともわかっています。
じゃあ、街の中の公園を歩けばいいのかと思うところですが、公園を同じように歩いてもNK細胞は若干増えるものの、そうした状態は長く続かないことも明らかとなっています。
変化が生じたのはなぜ?

森の中を歩くと効果があるのに、公園や都会ではなぜ同じ時間歩いても効果が得られないのか。
その原因をニオイではないかと仮説を立ててさらなる実験が行われました。
13人の被験者に加湿器でヒノキのエッセンシャルオイルを気化させた部屋とニオイのしない部屋にそれぞれ3泊した場合の違いを検証した結果、ヒノキのニオイをかいだグループでは3日後にNK細胞が20%増加することがわかりました。
森の中を3日間歩くことに比べると半分程度の効果ですが、ニオイをかぐだけで免疫機能を高めることができるのは驚きですよね。
森林浴から森林セラピーへ
森林浴という言葉は1982年に当時の林野庁長官によって命名された造語であるそうです。
その後、2005年に林野庁によって森林セラピーという造語が生み出されました。
その当時にすでに定着していたアロマテラピーという言葉に準じて造られたそうです。
森林セラピーとは
「科学的エビデンスを持ち、予防医学的効果を目指す森林浴」
を意味しています。
より科学的に根拠のある方法として確立が進んでいるようです。
宮崎良文,李宙営ほか. 自然セラピーの予防医学的効果. 日衛誌,66,651-656(2011)
森林セラピーの実践方法

理想的には実際に自然の中を歩く時間を定期的にとれるのがいいですが、仕事で忙しい人はそうもいきませんよね。
本の中で千葉大学の宮崎教授のこのようなアドバイスが紹介されています。
- 休暇が取れたら自然のある場所に行く
- 一ヶ月に一度はそうした場所へ行く
- 週に一度は公園に
- 庭仕事もいい
- 静かな場所へ行く
できるだけ自然に触れる時間を確保するように意識しつつ、さらに普段の生活のなかでヒノキのエッセンシャルオイルを取り入れてみるのも良さそうです。
私も早速ヒノキのエッセンシャルオイルを導入しました。
まとめ
- 森の中を歩くとストレスホルモンであるコルチゾールが低下し、NK細胞が増える
- 樹木が発するフィトンチッドというニオイによって効果が生じている
- ヒノキのエッセンシャルオイルでもNK細胞が増える効果がある
日々の生活の中に森林セラピーを取り入れてみてはいかがでしょうか?